最終更新日:2026.06.18

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インターネットの世界への興味からIT業界へ。営業1年半、エンジニア1年半で知った「現場のリアル」

――まず、キャリアのスタート地点から伺いたいです。どのようにIT業界に入っていったのでしょうか。

大学は理系でしたが、当時はプログラミングの授業にもあまり手応えを持てなかったんです。もともと大学で何をやるのか自分の中で腹落ちしていなかったこともあって、方向性が定まらないまま進むよりは一度区切りをつけたほうが良いと考えて中退しました。

その後、高校生のころから興味を持っていたインターネットの世界に関わりたくて、ITベンチャーに入りました。最初はエンジニア志望でしたが、未経験で技術力がなかったので「まずは営業をやってみろ」と言われ、1年半ほど営業を担当しました。その後、付き合いのあった会社の案件に入る形で、1年半ほどエンジニアとして働き始めました。

――営業から入った経験は、その後の仕事にもつながっていますか。

かなりつながっています。人材派遣に近い営業だったので、どういうスキルにどれくらいの単価がつくのか、かなり現実的な部分が見えました。技術だけみていたらわからない、ビジネスとしてのITを早い段階で知れたのは大きかったですね。営業とエンジニアの両方を経験したことで、お客様が何にお金を払っているのか、現場で何が求められているのかを立体的に理解できました。

――中村社長とは、その時期に出会われたのですね。

はい。転職後の最初の現場で、面談担当者の一人として座っていたのが中村でした。当時はまさか一緒に起業するとは思っていませんでしたね。

「寝耳に水」の起業宣言。戦友と歩んだ10年が、決断を後押しした

――中村社長と出会ってから、起業に至るまでには10年ほどあったかと思います。その間はどんな関係性だったのでしょうか。

当時の職場は30〜40人いて、結果を出せないとチャンスが回ってこない、非常に競争が激しい状況でした。がむしゃらにやっていたなかで、お互い生き残っていって。「この人やっぱり優秀だな」というのは中村に対しても感じていましたし、そういう意味では戦友に近い感覚でしたね。ただ当時はお互い派遣契約で、仲間意識というよりは本当に必死だった、という感じです。

――そこから10年後、起業の声がかかったときはどんな気持ちでしたか?

「ええ!」という感じでしたよ(笑)。起業なんてまったく考えていなかったので、完全に寝耳に水でした。面白そうという気持ちと、不安という気持ちが両方ありました。

――それでも一歩を踏み出した決め手は何だったのでしょうか。

こんな経験、普通に生きていたらなかなか得られないだろうと思ったのが大きかったです。経営者と社員という道を分けて考えたときに、よくわからないからこそ面白いかもしれないと。それで、「じゃあやってみようか」という気持ちになっていきましたね。

黒字倒産の恐怖と、顧客からの信頼を守り抜いた創業期

――副社長として創業されてから、一番大変だった時期というのはいつごろでしたか?

1年目、2年目、3年目の資金繰りは、やはりかなり大変でした。お客様からの入金までにタイムラグがあり、そこまでどう食いつなぐかという問題があって。銀行からの借り入れも信用がなければ難しいし、仕事がちゃんとできていても黒字倒産の恐怖がちらついていました。

――そういった経営面の苦境のなかで、富田さんご自身はどんなことに注力されていたのでしょうか。

私が担っていたのは、現場側の取りまとめです。会社が変わったとしても、お客様から求められるものをきちんと達成して、信頼を維持していく。元の会社であれば仕事がなくなっても別の案件が回ってきますが、起業した以上、1つの顧客を失うことが会社の存続に関わります。危機感がまるで違いました。中村が経営面で奔走してくれた分、私は現場寄りのところを全力でやり切るという役割分担が自然とできていきましたね。

――今は40人規模のネットワーク事業部を率いていらっしゃいますが、現在の業務内容を教えてください。

副社長と事業部長と課長を兼務しており、育成やマネジメントが2割、現場のプロジェクトでの業務が8割くらいのイメージです。経営は主に中村が担っており、私は人材育成や社内施策、各課長のマネジメント、現場業務の主導がメインになっています。

「答えを教えない」マネジメントと、褒める文化が生む好循環

――事業部長としては、どのような指標を追っているのでしょうか。

いちばん大きいのは売上です。毎年の伸長率を決めた上で、各課・各顧客ごとにどれだけ達成するかをみています。そこに対して毎週進捗を確認しながら、必要な手を打っていきます。売上のつくり方として大きいのは、既存顧客の中で仕事を広げていく内部営業です。エンジニアが現場に入り、お客様と日々やり取りするなかで新しい課題やニーズを見つけています。売上全体でみると、7割程度は内部営業が占めている感覚です。その他には、案件のマッチングサービスなどを通じた新規エンドユーザー開拓や、外部の営業担当を通じた顧客開拓も行っています。ただ、現状は既存顧客からの要望がかなり多く、まずはそこにしっかり応えていくことが重要だと考えています。

――40人規模のチームを率いるにあたって、マネジメント面で意識していることはありますか?

我々が大切にしているのは、お客様の悩みを上流工程から解決することです。そのためには「考え抜く力」が不可欠なので、課長たちに接するときはコーチングを意識しています。自分が答えを教えるのではなく、「今こういう状態になっているよね」と現状を整理して、「変えたい部分はここだよね」と課題を可視化。「どうすれば変わるかな」と本人に考えてもらいます。時間はかかりますが、自分で出した答えでないと、部下に対しても同じように伝えていけないので。

評価制度では、コンピテンシーを重視しています。職階ごとに求める行動特性を定義し、それを人事評価に紐づけています。評価の基準は全社員に開示されていて、何を目指せば良いのかがわかる状態です。以前は評価軸がみえづらい部分もありましたが、今は共通言語として機能しています。

――社員の働く環境を整える面では、どんな取り組みをされていますか?

2つの取り組みをしています。1つ目は「社員が自分の成長を実感し、やりがいを持てる環境をつくること」です。社員がやりたいことに挑戦して、新たな技術やスキルを身につけることで個々の可能性が広がると考えています。失敗こそが糧になると思っているので、どんどんチャレンジしてもらって、失敗しても「ナイストライ」と言われる文化をつくることは心がけていますね。

2つ目は「お客様の幸せを考える文化をつくること」です。お客様の満足度を高めることで、社員の誇りや達成感が生まれる。そうやって社員が幸せを感じることが、お客様のサービス品質の向上につながると考えています。そのような循環を生むためにも、小さなことでも互いに褒め合うことも大切にしています。ネットワークの仕事は、正常に作動して当然とされており、達成感が得づらい側面があります。

だから「褒める」ことを意識的に文化にしようと、感謝・称賛用のアプリを導入しています。会社の理念に基づいた行動を誰でも誰にでも称賛できて、褒められるとポイントが溜まり、プリペイドカードなどに交換できる仕組みです。話すのが苦手なエンジニアでも、アプリ上なら褒められるという方もおり、リモートワーク中心の環境でも孤立せずにつながれるようになっています。

どこへ行っても求められる人材に。事業部長が語る、成長の4条件

――今後、ネットワーク事業部としてどんな方向を目指していらっしゃいますか?

一番力を入れているのは社員教育です。人材育成チームを立ち上げ、eラーニングも導入しながら、入社から3年で一人前になれる仕組みを確立しようとしています。あとは支社の拡大も考えており、福岡への展開なども視野に入っています。全国にお客様がいるなかで、大阪・東京だけではスピード感が合わないケースも出てくるので。ただ、支社を任せられる人材の育成が先、という思いもあります。教育の大切さを改めて感じているところです。

――最後に、事業部長を目指す方へ向けて、どんなスタンスを意識してほしいですか?

4つあります。1つ目は、お客様の課題を自分ごととして捉えること。2つ目は、向上心を持って自ら学び続けること。3つ目は、慣れても初心を忘れないこと。お客様の機材を触るという事実は、経験が積まれても何も変わらないので。4つ目は、始めたことは失敗してもやり遂げること。困難があっても最後までやり抜いた経験が、自分の自信と成果につながっていくと思っています。この4つを入社2〜3年以内に自分ごとにできるかどうか。ここさえ持ってくれれば、課長にも部長にもなれるのではないかと思います。

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