ネットワークは「道路」だった。インフラエンジニアの仕事内容と1日の流れを、未経験者にもわかるように聞いた
普段あなたがスマホやPCで使っているネットワーク。それを「道路」に例えて設計し、トラブルなく走り続けられるよう守っているのが、インフラエンジニアです。IT業界6年目、これまでの経験を活かせる即戦力として2025年にアイティアスリートへ加わった立田さんに、インフラエンジニアが日々具体的に何をしているのか、1日の業務はどう流れていくのかを、未経験の方にもわかるように語っていただきました。
目次
インフラエンジニアとは、ネットワークを設計し、守る仕事

――インフラエンジニアという仕事について、未経験の方にもわかるように説明していただけますか。
インフラエンジニアの仕事は大きく「ネットワーク構築」と「運用保守」の2つに分けて説明できます。まずネットワーク構築は、お客様から要件(こういう通信環境にしたいという要望や条件)をヒアリングし、その要件を満たすためにどういった機器をどう組み合わせるかを設計し、実際に通信できる状態に仕上げるまでを担います。建築に例えるなら、設計図を引いて建物を建てる作業に近い感覚です。そして運用保守は、作ったネットワークが安定して動き続けるよう管理・監視し、障害発生時には原因調査と復旧対応を行います。
――そもそも「ネットワーク」とは何かというところから教えていただけますか。
ネットワークは「道路」だと思っていただくとわかりやすいと思います。スマートフォンやPCは普段からネットワークに繋がっていますが、ただ繋げるだけでは、車がぶつかる交通事故のように、通信同士がぶつかってトラブルが起こってしまいます。
信号や交差点で交通整理をするように、「この通信はここを通って良い」「ここは通してはいけない」と制御するための仕組みがネットワークです。私たちインフラエンジニアは、その道路を正しく設計し、トラブルなく走り続けられるよう日々管理しています。
構築して終わりではない。設計・構築から運用保守までの流れ
――ネットワーク構築は、どのような工程で進んでいくのでしょうか。
例えば、お客様から「毎秒10ギガビット(10Gbps)の速さで通信したい」「光ファイバー(通信ケーブル)が1本壊れても全体に影響が出ないようにしたい」という要件があったとします。その要件をもとに、どういった設定が必要かを整理し、「パラメーターシート」と呼ばれるExcelのシート(設定内容を一覧にまとめた表)にまとめることから始まります。「このポート(差込口)に光ケーブルを挿す」「このコマンドで設定を入れる」といった内容を網羅した上で実際の機器に入力し、まず自社のテスト環境で動作確認を行います。
お客様の稼働環境に直接影響が出ないよう、自社側でしっかり検証してから臨む点はインフラ構築において非常に重要なプロセスです。問題がないことが確認できたら、お客様の環境に組み込んで最終確認を行い、納品という流れです。
運用マニュアルも合わせて作成し、お渡しするケースが多いです。最近だとクラウド(インターネット経由で使えるサービス)上でWebから機器の設定ができるサービスもあるので、そういったものをご提案した場合は「このURLにアクセスしてログインする」「トラブル時はこの画面のスクリーンショットを送ってほしい」といった内容をまとめた資料を提供しています。
――運用保守では、具体的にどのような業務を行うのでしょうか。
ルーターやスイッチといった機器も、PCと同じようにOS(機器を動かす基本ソフト)で動いています。OSが古いままだとサイバー攻撃を受けるリスクがあるため、お客様がネットワークを利用しない深夜帯にOSの更新作業を行ったり、お客様の要望による設定変更を影響が出ない時間帯に実施したりといった作業があります。
障害が発生した際は、まずお客様のところへ赴き、機器のランプが正常に点灯しているか、異常を示す赤いランプが点いていないかなどを確認します。故障と判断した場合はメーカーや保守部隊(修理・交換を担う専門チーム)に連絡して交換対応を依頼し、新しい機器に、事前に保存しておいた設定情報(バックアップ)を移して、問題なく動作するかを確認するといった対応を行います。お客様のビジネスを止めないために継続して関わり続ける、責任感が強く求められる仕事です。
大学病院のネットワーク刷新を担当。インフラエンジニアの1日

――現在は、どのような案件を担当されているのでしょうか。
現在メインで担当しているのは、大学病院のネットワーク刷新プロジェクトです。長年運用してきたネットワークが老朽化し、つぎはぎのような状態になっているため、全体を新しく作り直したいというご要望です。
「導入から7年は耐えられる機器を選んでほしい」「教職員や学生の人数規模に対応させたい」といった要件のほか、「Wi-Fiが遅い・繋がらない」という既存の課題解消も求められています。関わる機器の数は3桁に上り、複数のメーカーが参画している規模感です。フリーWi-Fiから患者さんが電子カルテなどの個人情報へアクセスできないようにするセキュリティ設計なども含め、費用感も踏まえた提案資料を作成しています。
――1日の業務の流れについて教えてください。
週に2〜3日出社し、残りはリモートワークという働き方です。勤務時間は朝9時から17時半で、繁忙期以外はほぼ18時ごろには退社できています。1日の流れとしては、まず朝にメールや当日のスケジュールを確認し、その後は提案資料の作成や社内メンバーとのレビューによるブラッシュアップが中心です。
大学病院の案件では複数のメーカーとの定期的な打ち合わせも入ります。週に1回のチーム会で案件の進捗確認を行い、週に1回は会社全体でのミーティングもあります。提案フェーズでは「お客様はこういうことをやりたいんだよね」という認識のすり合わせを丁寧に行うようにしています。
大規模な案件では複数人が関わるため、認識のズレが後の構築フェーズに影響しないよう、こまめな連携を意識しています。ネットワークチームだけでなく、サーバー(データやサービスを提供する側のコンピューター)を担当するサーバーチームや配線を担う設備チームとも密に連絡を取り合い、「少しでも認識を合わせておきたい点があれば遠慮せず打ち合わせを入れる」という姿勢で取り組んでいます。
入社1か月以内で、自力でトラブルを解決。難問を乗り越えた先に、この仕事の面白さがある
――業務の中で大変さを感じた場面はありましたか。また、どのように乗り越えられたのでしょうか。
入社してまだ1か月も経たないころに、前職での経験を買っていただき、自社で請け負っているセキュリティ製品のトラブルシューティングを任されたことがあります。お客様の環境に導入したセキュリティ製品に不具合が多発し、業務に影響が出てしまったのですが、特定の通信がその製品を経由すると「1回目は必ず失敗するのに、2回目は成功する」という不思議な事象が発生していたのです。
前職でその製品を3年ほど扱っていた経験から、調査に必要なログの取得を社内の担当者に依頼し、ログから時系列や原因を整理し、メーカーのサポートの方と何度もやり取りを重ねました。結果として、サポート側が原因にたどり着く前に、約1週間で自力で原因を特定し、対処することができました。大変ではありましたが、あの瞬間の達成感は今でも鮮明に覚えています。
――インフラエンジニアの仕事で、やりがいを感じるのはどのようなときでしょうか。
やはり難しい問題を自分の力で解決できた瞬間が一番だと思います。障害対応は特に、自分の物差しでは測れないような予想外の事象が起きることがあります。だからこそ、自分の知識や経験を総動員して原因にたどり着けたときの達成感はひとしおです。知識を積み重ねて手を動かしていくと、最初はまったくわからなかったことが少しずつ理解できるようになっていきます。最初は難しく感じるかもしれませんが、その壁を越えた先に、インフラエンジニアとしてのやりがいが待っていると思います。



