最終更新日:2026.02.12

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「エンジニアを物心両面で幸せにする」というビジョンを掲げ、独自の組織運営を実践するアイティアスリート株式会社代表取締役の中村学さん。採用基準として「一緒に働きたい」と感じたかどうかを何よりも大切にし、離職を防ぐために柔軟な異動制度を設けています。3ヶ月に1回という高頻度で異動希望を聞き、事務職からエンジニアへの転身も後押しする――そんな一見大胆な施策の裏にある、人を信じ抜く経営哲学と、それを支える組織文化について語っていただきました。

採用時の「一緒に働きたい」という直感を信じ抜く、離職防止への独自の哲学

――まず、御社の組織作りにおいて非常に特徴的な「異動」に対する考え方についてお伺いします。かなり柔軟に職種転換などを受け入れているそうですが、その背景にはどのような思いがあるのでしょうか?

シンプルに言うと、「辞めるよりマシ」という考え方ですね 。私たちにとって、離職ほど辛いことはないんです 。もちろんうちの会社でも退職される方はいますが、辞める時にはやっぱり「もう少し一緒に仕事をしたかったな」と痛烈に思います 。

採用する時、私たちはエンジニアリングスキルだけを見ているわけではありません。コミュニケーション能力をベースに、「この人と一緒に働きたい」と思える人を採用しようとみんなで決めているんです 。だからこそ、辞められると精神的に本当にきつい。「一緒に働きたかったから採用したのに、ごめん」という気持ちが溢れてしまうんです 。

――「スキル」ではなく「人」で採用しているからこそ、その人が去ってしまうことが最大の損失なんですね。

そうです。だから、「辞めるくらいなら、この仕事をやってくれないかな? それでもダメかな?」と聞いてしまいますね 。もし「異動したい」と言われたら、現場のマネージャーたちは「どうやって回していこうか」と大騒ぎになります(笑)。「今抜けられると困る」「じゃあ俺が入るか、別の人を借りるか」と喧々諤々の議論になります 。

それでも、会社のビジョンが「エンジニアを物心両面で幸せにする」ことですから、それを実現するための努力は惜しみません 。

「3ヶ月に1回」の頻度で異動希望を聞く理由。不満を「キャリアパス」へと昇華させるメカニズム

――その「個人の幸せを尊重する」ための具体的な施策として、「3ヶ月に1回」異動希望を聞いていると伺いました。これは企業規模を考えると運用が非常に大変だと思うのですが、なぜこの頻度なのでしょうか?

シンプルに、人間って「3ヶ月に1回くらいはそういうこと(転職や異動)を考えるだろうな」と思うからです 。

四半期という区切りは、なんとなく自分の仕事に一区切りつくタイミングですよね。4月、6月、12月、3月あたりになると、「そろそろいいかな」「この会社もこの仕事もこのくらいかな」とふと思うものです 。他でもいい仕事がありそうだな、いい年収がもらえそうだな、と魔が差すというか(笑)。みんながそう考えるタイミングで、先回りして聞いてあげているんです 。

――心が揺れ動くタイミングに合わせて聞いてあげるわけですね。ただ、全員の希望を聞いていたら組織が回らなくなる懸念はありませんか?

「異動したい」という要望があっても、プロジェクトの都合ですぐには抜けられないことは当然あります。だからこそ面談で、「今の状況なら半年後には異動できるから、半年後にどうしようか」と具体的にスケジュールを決めていきます 。

実はおもしろいことに、聞いてあげると意外とみんな「異動したがらない」んですよ 。本当にキャリアパスとして異動したい人よりも、「不満を聞いてほしい」「悩みがあるから今の場所が嫌だ」というネガティブな理由の人が圧倒的に多いんです 。

だから「なんで?」と聞いてあげて、「それならすぐ解決できるからやるよ」と提案すると、「あ、それが解決できるなら異動しなくていいです」となる。本質的な悩みを解決してあげることで、結果として異動そのものが消えることも多いですね 。

「稼ぎたい」という動機すら肯定する、柔軟なキャリアチェンジ実例

――実際に、職種自体をガラッと変えるような異動も行われているのでしょうか? 具体的なエピソードがあれば教えてください。

全然あります 。例えば、お客さんと直接向き合う仕事がしんどくなった人を、教育担当に回したこともあります。教育カリキュラムを組み立てる役割ですね。今は“オカン的存在”として、すごく生き生き働いてます。会社としても貴重な戦力です。

逆に、事務職からエンジニアになったケースもあります。「エンジニアの方が稼げるって聞いたんで」って 。

――「稼げるから」という理由で職種転換を希望されたのですか?

そうです。ご家庭の事情もあって「自分が稼がなきゃいけない」という状況だったんですね 。それなら、「うちの会社にはこういう仕事もあって、稼げるからやってみる?」と提案しました 。事務の仕事をしながら猛勉強して、資格も取って、今はもうエンジニアとして第一線で活躍しています 。

もちろん、勉強のための研修費用や書籍代は全部会社が出しました。「研修行きたいです」と言われたら「行ってきな」とお金を出して 。当時は会社にお金が全然なかったんですけどね(笑) 。

本人の頑張りが一番ですが、元々事務員として入社した友人の友人が、今では立派なエンジニアとして5年近く活躍してくれている。こういう事例は本当に嬉しいですね 。

「エンジニアを物心両面で幸せにする」未来に向けた覚悟

――こうした判断を現場が受け入れられるのは、なぜでしょうか?

ビジョンが浸透してるからですね。「エンジニアを物心両面で幸せにする」。これをずっと言い続けてきました。採用の段階から、その価値観に共感して入ってきてくれているので、異動の話が出ても最終的には、「その人が幸せになるならやろう」となる。経営幹部も含めて、そこはブレないですね。逆に、良くない方向に行きそうなときは、全員で本気で止めます。「本当にそれでいい?」って。

安定してるからできると言われることもありますけど、たぶん逆で、こういうことをやってきたから今がある。人を大事にするって、綺麗事じゃなくて、結構泥臭いし大変です。でも、それをやらない理由はないかなと思ってます。

技術力以上に求められるのは、会社のビジョンを「浸透させる」ことができる人間力

――最後に、今後のキャリアパスについて伺います。新卒や未経験で入社した場合、どのようなステップアップのイメージを持てばよいでしょうか?

新卒や未経験の方の場合、まずは研修を経て、実際のプロジェクトに入ってもらいます。最初は検証業務などでシステムが動く仕組みを理解してもらい、そこから開発へ進むか、あるいはプロジェクトリーダーの補佐として進捗管理などを学ぶか、大きく2つの入り口があります 。

基本的には3年で一人前のエンジニアになれるよう育てていますが、気合いの入った子だと1年で大成してしまうこともありますね 。

キャリアアップの目安としては、順調にいけば2〜3年でリーダー、4〜5年で課長というイメージです 。

――課長や部長へと昇格していく際、どのような基準を設けているのでしょうか? 特に御社のようにビジョンを大切にする会社では、技術以外の要素も重要になりそうです。

おっしゃる通りです。課長や部長になるには、単に数字が作れるだけでなく、「事業に責任を持てるか」が問われます 。

これはつまり、お客様に対する品質を守ること、そして「エンジニアを幸せにする」という会社のビジョンを、部下にも浸透させ、守らせることができるかということです 。

頭でビジョンを分かっていても、実行できていない人は評価しません。「それってエンジニアのために考えてるの?」と聞いた時に答えられないようでは、上に上げることはできない 。

リーダークラスの時点でそのマインドがないと、部下がどんどん辞めていってしまいますから 。技術はもちろんですが、根底にある「人を大切にする思い」が揺らがないことが、私たちの会社でキャリアを築く絶対条件ですね 。

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